普通、学校の壁などに貼り付けられている世界地図は、メルカトル図法によって作成されています。

フランドル出身の地理学者メルカトルが発表した地図に使われた地図投影法(1569年)です。

 

この地図の特徴から北極、南極といった極周辺では、距離や面積は過大に表現されます。例えば高緯度のグリーンランドは実際より17倍も拡大されているのです。

 

この様な不正確な地図を我々は何故使用してきたのでしょうか?この地図を使用するメリットというものが存在していたのでしょうか?当然の疑問とも思われます。

私も、以前数学を教えている際に何故か質問された覚えもあります。

このメルカトル図法は、船の航行のための航路図として利用されて来たという経緯があるのです。

等角航路が直線で表されるとい利点があったのです。

 

当時の航海では、船乗りたちはコンパスを頼りに操船を行い自分の位置と南北東西の角度から目的の地の方向を割り出す必要がありました。ただし、この方法は航路の最短距離を求めるものではありません。何故ならば当時の船は原動機が搭載されている訳でもないため最短距離を航行することが現実に不可能でした。

それよりも確実に目的地に到着する手法として自分の位置から目的地の方向が分かるという利点が当時はメリットと感じられたのでした。

帆船航海時代には地球規模で吹く風を利用し太平洋や大西洋を渡りました。貿易風と偏西風です。

大西洋を最初に横断してアメリカ大陸を発見したコロンブスはこの風をうまく利用する才覚があってこその偉業でした。

偏西風は、太平洋の上空を「西から東に」流れる風。

貿易風は、赤道の上空を「東から西へ」流れる風。

赤道付近で強い日射のために生じた上昇気流(低気圧)が発生します。

そして地球の自転によるコリオリの力(転向力)を受けて気流は次第に東寄りに向きを変え、これが貿易風と呼ばれる風の正体です。

そして緯度30度付近まで進むとそれまでに温度を奪われた大気は下降気流(高気圧)となります。

地理という学科は古くから貿易と大きく関わっており諸科学の成果を吸収し、総合学問といわれる所以です。

早い話がお金儲けと深く関わっている国策と密接不可分の学問というのが真の姿な様です。

 

かつてナポレオンは、一国の地理を把握すればその国の外交政策が理解できる、と語ったとされています。

これは地政学の観点であり、民族の意志がどうであろうと周囲の状況により国家の行動が限定され拘束されている事を物語っています。

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